ワタセ近江本麻布団(うす敷き布団シングル) [92040545]
販売価格: 32,400円(税込)
商品詳細
ワタセの「近江の本麻布団」について。
はじめに
この度、ワタセで作って、2007年の通販生活夏号で販売して頂いていた【近江の本麻布団】は、ワタセ自慢の逸品です。
品質は最高級ですし、お値段も産地直送ですから、普通なら10以上するのですが、掛け布団が42 、敷き布団が45 と、特別にお買い得です。
この機会に、本物の本麻布団をお買い求め下さいませ。
さて、
本麻布団ですが、高いものは一枚20もしますし、安いものだと一枚1でも売られています。
皆さんは、『一体、どこが違うの?』と思って居られることでしょう。
本麻の場合、他の繊維と違って、綿にするのに難しい技術を要します。
だから、先ず産地にご注目下さい。
次には、どんな布団も、【布】【中綿】そして【空気】の3つの要素から出来ています。
この中で空気は共通のものですから、違いは布と中綿の2点です。
これから、それぞれについて説明させて頂きます。
少し長くなりますが、お付き合い下さい。
近江の麻の沿革
「麻」は「もめん」よりも古い歴史があります。
中国の湖南省の遺跡では、紀元前2000年のミイラに麻布が使われ、またエジプトのピラミッドでも麻が使われています。
専門家の間では、人類は5千年前から麻を使っていたとされています。
日本においても、遥か昔から大麻の皮を剥いで使われていました。
古くは、神武天皇の装束も麻布だと言われています。
しかし麻織物が産業として発展したのは、それほど昔のことではありません。
近江では、産業として鎌倉時代から麻を紡ぎ、信長時代の楽市楽座にみられる商業と産業振興以降から江戸時代を通して地場産業として育ちました。
戦後の合成繊維の台頭までは、麻が糸や布の主流であり、滋賀県は、その60%を担ってきました。
現在でも私の住まいする湖東地方は、麻の撚糸、織り、染め、整理、等々の工場が数多く残り、私の友人の多くも麻に従事しています。
近江の麻布に関しては、高級服地の素材に使われ、友人の会社(株)麻糸商会)が作った麻布がシャネルやアルマーニの服地に使われる等、その技術は英国に西欧に肩を並べる所まで来ています。
また、昭和52年に「近江上布」は国の伝統的工芸品に指定されました。
どうして麻織物が近江の地場産業に育ったかと言いますと、一つには近江の風土であり、もう一つは近江商人の活躍に依ります。
蒸し暑い日本の風土には、麻は最適な繊維です。
しかしながら、麻には難点もあります。
麻は技術を要し、とても切れやすいのです。
周囲を山に囲まれた近江盆地は、真ん中に琵琶湖を擁しています。
だから、近江の夏は湿度が高くて蒸し暑いのです。
実は、この蒸し暑い気候が、切れやすい麻を織るのに最適でした。
高温多湿に強い麻は、高温多湿の風土の中でしか紡げませんでした。
更に、近江商人は、特産品の麻布や蚊帳を全国に売り歩き、日本各地から麻の原料も仕入れ、江戸時代には安定した地場産業へと育ちました。
このように、現在では、麻の本場のヨーロッパでも、近江の技術は高く評価されています。
麻について
コットンでも、ウールでも、シルクでも、合成繊維でも、その状態で既に「綿」であります。
もっと分かり易く表現しますと、例えばコットンの場合、綿の実がはじけてコットンボールになる訳ですが、コットンボールそのものが、綿なのです。ウールでも、シルクでも、テトロンでも然りです。
しかし唯一、麻だけは、作って初めて「綿」になるのです。
技術を通して、初めて綿になり、この技術力が問われるのが麻なのです。
麻の場合は、皮を剥いで綿を作ります。
麻の繊維長は、2mほどあるのですが、これを12mm~75mmカットします。
皮を、何度も何度もタッピッグと漂白を繰り返して綿になります。これをデガミングと言います。
カット方法もギロチンカットとバイアスカットがあるのですが、バイアスカットの方が風合いも出ますし、コーマを掛ければ更に良い糸になります。
さて、麻綿についてですが、現在出回っている麻綿は、その殆どがノイル(落綿)や短綿から作られています。
ノイルとは、麻を糸にする時に機械の下に落ちるクズです。
これも麻には違いありませんが、繊維の短いものや、埃なのです。
短綿とは、麻原料から糸を作る段階で、一定の長さに達しないワタ、また長紡に使用できにくいワタを短紡用にカットしたものです。
優れた麻綿を作るには、ノイルではなくて、糸を紡ぐ前のワタを原料にする必要があります。
そして、この原料となるワタを如何に作れるかが、一つのポイントなのです。
麻綿の長所と難点
麻の最大の長所は、なんといっても涼しさです。
歴史のある麻ですが、その良さは現在においても、高温多湿の日本の夏に最適でスペシャルな繊維であることは特筆すべき点でありましょう。
麻は、吸水、吸湿と撥水、発汗において、コットンの2.8倍と、数値でも実証されています。
その理由ですが、麻の繊維は組織内に空気の層を多く含んでいるからです。
この特性が、同時に、皺になりやすい点でもあります。
コットンも中空繊維ですが、麻の空気層は遥かに多い為、軽くて、吸水性や撥水性に優れているから涼しいのです。
最近では、麻の抗菌性も言われています。
夏に最適な麻綿ですが、しかし難点もあります。
一つは、前述した様に、材料となるワタを作る技術が難しい点であり、もう一つは、麻綿は、ペチャンコになりやすく、ホコリが出やすいことです。
これは、麻の繊維が細くて、しかも切れやすいから、ホコリが出ます。
短綿やノイルを使用した場合は、特に酷いものです。
更に、麻の繊維は、針金みたいに真っ直ぐ(ストレート・タイプ)なのです。
だから、生地から吹き出し、ペチャンコになるのです。コットンやウールはクリンプやウェーブがあって、それらが絡まることにより、空気を含んでフンワリとした風合いのワタになっていますし、また、ペチャンコになり難いのです。
今回の本麻ワタは、(1)本麻糸の細番手を紡績するのと同一のワタを使用し、更に、(2)マーセライズ(別紙参照)をすることによって、元々ストレート・タイプの麻原綿がクリンプ、ウェーブの掛かった原綿に変質します。
20年前から、この難題に取り組み、10年近く前に、こうして、従来なし得なかった最高の本麻わた入り布団が完成しました。
殆ど市場には出回っておらず、それも10近い高級品だけです。
この特別誂えの本麻ふとんは、きっと満足していただける逸品です。
余談ですが、私の近所の辻文五郎さん(72歳)は、現在も(株)麻糸商会に勤務され、麻業界では、麻の生き字引と言われている方です。
この方が、苦労を重ねてクリンプ、ウェーブの掛かった「原綿」を開発されました。
(株)麻糸商会の社長は私より二歳年上で、公私ともども仲良しです。
この(株)麻糸商会の技術は、帝国繊維やトスコをも指導するに至っています。
普通は、表に出ない川上の会社ですが、ワタセ本麻ふとんは産地直送になります。
ですから、拘りもありますし、その分、商品も素晴らしい一級品です。
古来の本物で、しかも最新技術を導入した優れものです。
現在、市場に出回っている商品は10万以上と、手の届かない価格ですが産地直送ですから、とてもお買い得です。
本麻の布について
麻の種類ですが、大麻(Hemp)、亜麻(Linen)、苧麻(Ramee)があります。
今回のご提案は、苧麻(Ramee)です。
これまで述べてきたように、布を作るのにも、一番大事なのは、「わた」つくりです。
「わた」から糸をつくり、それが布になります。
だから、全てがオリジナルで、既製品はありません。
近江の技術で、素晴らしい別誂えの近江の本麻の布を織り上げました。
近江のちぢみは手もみの技術から生まれ、肌触りに優れ、夏に涼しい特徴があります。
近江の本麻の布、最高の麻ワタを、明治6年創業のワタセが手作りで自慢の逸品をお届けします。
染めについて
掛け布団の鏡(かがみ)の染めは、【手ぼかし】です。
京都の伝統工芸士であられる重野和夫さんにお願いした一枚一枚、丹念な手染めです。
重野さんの染めは、高級着物は勿論のこと、ヨウジヤマモトさんや三宅一生さんのデザイナーブランドの染めもしておられる一級の職人さんです。
通常の流通経路に載せれば、この鏡部分だけで2もする高級品なのです。
これが本式の「近江の本麻ふとん」です。
鏡(かがみ)は近江ちぢみに手染めぼかし、裏地は近江の平織りを染めております。
布もワタも本麻です。しかも、近江特性の高級麻布と高級麻ワタを使用しています。
麻は、軽くて 汗を吸って、直ぐに乾きます。
だから涼しく爽やかなのです。
サイズは、昔からの「夏ふとん」サイズ。
昔は、普通のおふとんを「大ふとん」と呼び、夏用は「夏ふとん」と呼んでいました。
それは、サイズが違うからです。サイズが大きくなると、その分、重くなります。
せっかくの本麻ふとんも、大ふとんにしてしまうと、軽さが半減してしまいます。
ちなみに愛称は「御へその蓋」です。
本麻カバーも、軽くするために、表を空けています。
これだと、美しいぼかし柄も、隠れません。
おふとんが飛び出さないように、四隅に枠を付けました。
お仕立ても、もちろん、手作りです。
こんな綴じ糸、憶えていますか?
正絹ワタ糸(絹平)で、可愛く中ワタを固定しました。
昔は、よく使われていたんですよ。
今や、希少価値になったこの正絹ワタ糸で、作らせて頂きました。
(株)ワタセ社長辻 貴史
ワタセ近江本麻布団(うす敷き布団シングル)
【在庫数について】
商品ページに表示されている在庫数は通販サイト上の在庫数となります。各店舗の在庫数とは異なりますのでご注意ください。